2018年度日本臨床カンナビノイド学会の報告

薬剤師の松峰 啓真氏(源芳株式会社 取締役)が、9月9日(日)に行われた日本臨床カンナビノイド学会に出席し、その様子をレポートしてくれました。

※源芳株式会社とHappy Healthyは、CBD製品を含め海外のサプリメントや化粧品を日本に輸入したい企業様のために、輸入コンサルティング、輸入代行業務を業務提携しています。

 

 

はじめに

講演時間は10:30~17:00までとみっちりです。

皮膚科医の医師杉野宏子先生による、美容におけるカンナビノイドの役割から始まり、今年の10月から世界で2番目に嗜好大麻が合法化されるカナダの概況紹介、CBD商品を使ってのアンケート発表、そして、本学会の会長である新垣稔先生による学会の始まりと今後についての紹介で、あっという間に12時をすぎてしまいました。

 

美容とカンナビノイド

青山エルクリニックの皮膚科医、杉野宏子医師は、まず大麻についてのWHOでの大麻規制の見直しについてを説明。

WHOでは、1935年以来の83年ぶりに大麻草と大麻関連物質についての見直しのための会議を2018年6月4~7日かけて実施し、2018年7月23日の会議の結果として、大麻と大麻樹脂はスケジュールIVの基準(依存性の強い麻薬)と一致せず、純粋なCBDは麻薬統制リストに入れるべきではない、と結論づけていることを説明してくれました。

その後、医薬品として承認されたエピディオレックス、アメリカプロスポーツ界で、痛みやや炎症の緩和目的としたCBD製品の使用の許可について、カナダでの合法化やイギリスでの国民保険での処方が可能となったこと、海外での食品、化粧品、ペット用品などへの応用等についても、紹介。

そして、美容外科の分野では、皮膚のカンナビノイド受容体にCBDが作用することでの、表皮の恒常性維持、痛み、炎症等の皮膚の健康にカンナビノイドが大きな役割を果たし、ニキビや乾癬その他の皮膚症状を予防する文献について紹介し、成人アトピー皮膚炎、手術を多くする外科医の慢性湿疹に対するCBD軟膏の塗布による改善症例についても報告されていました。

 

カナダでの嗜好用大麻の合法化

次は学会正会員である古賀洋輔氏による、カナダでの嗜好用大麻の合法化について。

日本での大麻禁止となった歴史は、日本が戦争に負けたことでのアメリカによる圧力によるものであることを説明。

なんと、戦前の薬局方には、大麻は、インド大麻草として薬局方に記載されていたれっきとした医療用植物だったのです。私たちは、「大麻→麻薬→完全な悪である」と刷り込まれてきていたようです。

そして、米国での大麻を使用するゲイコミュニティで、エイズ患者のうち大麻を使用する人たちの方が比較的健康を保っていることが知られ、米国での大麻の医療用使用の解禁の流れ、世界での医療用大麻の解禁についてを紹介されました。

米国では31州と1特別区で解禁、世界では37カ国が解禁しています。そして、嗜好用大麻については、米国では9州と1特別区、世界ではウルグアイとカナダが全面的な解禁となり、世界中で合法化に向けての流れが出てきていることを紹介。

もちろん、合法化に向けて、カナダでは大麻へのアクセスに関する規制と管理についても法制化しています。

若者の脳の発達には影響することは明らかであることから、タバコのように、若者が購入できないようにする、合法化することで、犯罪組織への資金源となることを防ぐ、大麻を所持するだけで逮捕といった司法当局の労働負担軽減、医療大麻患者に向けた品質の保証された大麻の安定供給といったことをカナダ政府は考えていることも説明してくれました。

カナダ政府の嗜好用大麻、医療用大麻の両方の解禁は、人々の生活、社会を大きく変えていきそうです。

翻って、日本では相変わらずまだまだのようであるとしか言いようがありません。

 

 

CBDオイル製品の満足度や効果に対するアンケート結果

3人目の演者は、CBDオイルを販売するメイヂ食品株式会社の高野氏。CBDオイル使用者160人へのアンケートを実施し、その効果等を発表していました。

 

 

そして、本学会会長である新垣先生による、学会立ち上げからの経緯について。

先生のお母様の闘病中にCBDを使用することで、お母様の症状が改善されたことを経験したことがきっかけで、大麻が医療に役立つとして本学会を創設されましたとのこと。

人々の社会全体の健康と医療の発展に日々まい進されています。

 

 

ここまでであっという間に12時を回り昼食タイムです。

 

 

てんかん治療におけるカンナビノイド利用の最新情報

学会総会が13時10分から、そして13時30分からは、米国コロラド州で神経科の医師、エドワード・マー博士による小児重症てんかん患者で高CBD大麻抽出エキスの著効例を紹介されました。

マー博士がカンナビノイドの効果を知ったのは、WEEDという番組で、シャーロットという少女の重度のてんかんがCBDエキストラクトによって、ほとんど発作が起こらない状態にまで改善したことが紹介されてからだそうです。

マー博士は、成人患者が対象ですが、重度小児てんかん患者の家族からの情報も収集し、てんかんの治療の1つとして大麻やCBDが役に立つと説明しています。

また、承認されたCBDの医薬品エピディオレックスの説明の中で私が気になったことは、摂取量が大麻全草から得られる抽出物よりもはるかに摂取量が多いこと。その他の薬との相互作用、そして副作用。摂取量が多いことによって副作用が発現しやすくなるともいえるし、それが代謝酵素に影響し、併用する他のてんかん薬や抗不安薬の作用を強める可能性があるかもしれないなと、少し考えさせられました。

ちなみに副作用としては、傾眠や下痢といった消化器症状等が紹介されていましたが、この薬のすごいところは、本来は通常のてんかん薬の「補完」として申請されていたのですが、著効により、「補完」ではなくなったこと。つまり、第一選択薬としても使用できるのです。

患者さんは、CBDを最初から使用することも可能という画期的な薬であることは言うまでもありません。

マー博士の講演は2時間にも及び、CBDだけでなく大麻草の薬効を、私たちは無駄にしてきてしまっているのではという気持ちにさせられました。

 

その後10分間の休憩後、日本各地で活躍する先生方による講演や大学研究室の発表がありました。

 

 

日本における医師の医療大麻における意識調査

熊本大学の正高先生による、小児てんかん患者CBDオイルが奏功した例を筆頭に、臨床CBDオイル研究会代表の飯塚クリニックの飯塚先生が、自らが開発した製品による臨床報告がありました。

これはアントラージュ効果を十分に生かせるように、10%の高濃度CBDオイルを使用していました。不眠の改善、がんマーカーの改善、原因不明の咳、炎症、痛みに有効であったという複数の症例が発表され、カンナビノイドの有効性を不動のものとしたと言えるでしょう。

その後、飯塚先生と話をさせていただいたところ、先生は漢方もたしなむ医師で、植物の力を最大限に発揮するには、CBD単体ではなく、麻に含まれるテルペンやその他全ての成分(THCを除く)を一緒に摂取するほうがいい、と強くおっしゃってました。

 

 

日本は変わるのか?

さらに、昭和薬科大学薬物動態学研究室による薬物動態の研究発表では、CBDのマイクロエマルジョン製剤の作成とそれによるCBDの吸収改善について紹介され、最後には、日本大学生物資源科学部研究委の赤星先生による、WHOの動きについての説明があり、1日の学会が終了したのです。

赤星先生は18年間大麻について研究されており、WHOによる大麻の科学的評価が初めて実施され、その結果が2019年3月にだされ、その結果とアメリカの法制度が変われば日本の法律も変わる可能性があることを発表されていました。

 

 

こうして学会は終了し、懇親会で先生方との談笑後、さらに2次会へと突入。

二次会では、先生方の熱い想い、患者さんの体験談、海外での実際の使用の実例など、日本ではまだまだ知られていないことが多く語られ、麻についての熱い議論が深夜まで交わされ、麻の力を再認識する一日となったのです。

 

 

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